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AkiSato
仙台放送アナウンサー、テレビ神奈川アナウンサーを経てフリーランスに転向。映像制作のほか実況、司会業も
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【Works】「まりびと」アンジェ ポステコグルー
2019/03/02
日付が変わって、きょう3月2日は、横浜F・マリノス ホーム開幕戦。
G大阪とのリーグ開幕戦に熱狂したのは、もう一週間前だ。
開始3分の間に、2得点が生まれる衝撃。
そして、F・マリノスは、開幕戦を制した。
得点者の、そしてベンチの、スタッフ陣の喜ぶ姿を見れば、
「待望の一勝」であることが、熱を帯びて伝わってくる。
去年12月1日に2018シーズンのリーグ戦を終えて、
F・マリノスは辛うじてJ1リーグ残留を決めた。
その試合後、「彼」は、選手・スタッフの最後方を歩き、
スタンドに目をやり、ひたすら手を叩き続けていた。
私は、その背中を撮り続けた。
アンジェ ポステコグルー。
彼の背中越しに見た風景。
ブーイングもあった。
「アンジェ!アンジェ!」と言葉にならない雄叫びもあった。
労いと感じられる拍手もあった。
ゴール裏、もっとも熱狂的なサポーターが集う場所に来ても表情を変えなかった監督。
しかしそこへ不意に、タオルマフラーのようなものが投げ込まれる。
監督はそれを見逃さなかった。
歩みを止め、トラックに落ちたそのマフラーを拾い、高く掲げた。
次の瞬間、自らのネクタイを緩め、外し、サポーター席に投げ返した。
広がるどよめき。
言葉はひとつもないやりとりだった。
2019年シーズンへの期待がサポーターから投げ込まれ、
それに応える決意を監督は投げ返した。
あれから91日、
同じ場所で、彼は2年目のシーズンを迎える。
全員が輝くその瞬間を、日産スタジアムで見守りたい。